緑内障について〜Part 4
さて今回は緑内障の手術について少し具体的にお話をしようと思います。前回書きました通り、緑内障の手術は眼圧を下げるために行いますが、そのやり方(術式)には色々あります。そもそも眼圧は「房水」という目を栄養する水の流れが悪くなることによって数値が上がるため、この房水の流れを手術で改善
緑内障について〜Part 3
今回は緑内障の治療についてお話します。緑内障は視神経や網膜といった神経が障害されてしまう病気ですが、一般的に神経というのは一旦障害を受けてしうと再生しにくい組織と言えます。例えば脳や脊髄などは一度損傷してしまうと後遺症が残って完全には回復しないことがよくありますが、緑内障もそうい
緑内障について〜Part 2
さて今回は前回に続き緑内障の話をします。「眼圧が高くなると緑内障になるんですよね?」と患者さんからよく聞かれることがありますが、特に日本人では眼圧が正常値でも緑内障になってしまうケースがほとんどです。緑内障になると視野が狭くなったり視野が一部欠けてしまったりしますが、通常は両目が
緑内障について〜Part 1
以前の自分のブログを読み返してみて、そういえば緑内障の話について書いたことがなかったなぁと思いましたので、今回から何回かに分けて緑内障についてお話したいと思います。患者さんから「白内障はそんなに怖くない病気だけど、緑内障って怖い病気ですよね?」とか「緑内障って失明しちゃう病気です
抗VEGF薬硝子体注射について〜Part 2
さて今回は前回に続きまして抗VEGF薬硝子体注射について何点か注意点をお話します。まず注射については病状にもよりますが、通常は複数回の注射が必要です。例えば加齢黄斑変性においては導入治療として一般的には毎月1回ずつ、3回の注射を行います。この3回だけで病気の勢いが完全におさまれば
抗VEGF薬硝子体注射について〜Part 1
さて今回は題名にあります「抗VEGF薬硝子体注射」のお話です。抗VEGF薬という薬はおそらく一般の方はあまり聞きなじみのない名前ではないかと思います。ですが眼科医にとっては今までなかなか治療困難であった病気に対して、この抗VEGF薬が治療薬に使用される頻度が増加しています。もとも
学会に参加して〜Part2 多焦点のはなし
さて今回は前回に引き続き多焦点の話です。以前にブログでも多焦点の概要について説明しました。多焦点眼内レンズでは手術のやり方こそ通常の白内障手術と基本的には変わりはありませんが、患者さんによっては単焦点の方が適している場合も多く、それを選別するところに難しさがあります。多焦点レンズ
学会に参加して〜Part 1
先日、東京で開催された学会に参加してきましたので、それにまつわる話をしたいと思います。この学会は非常に大きな学会の一つで参加者も多く、様々な分野における発表が行われています。中でも盛況に思われたのが多焦点眼内レンズについての発表で、例年に増して聴講する人が増えているような印象でし
網膜静脈閉塞症について〜Part 3
今回は前回からの続きで網膜静脈閉塞症の治療についてです。この病気はそもそも網膜の循環障害によって少なからず網膜が傷んでしまい、その傷んだ細胞は残念ながら完全に再生して治ることはありません。そして特に見え方に悪影響を及ぼすものに「浮腫」があります。視力に直結する黄斑によく起こります
網膜静脈閉塞症について〜Part 2
さて今回は前回に引き続き網膜静脈閉塞症の治療について解説します。まず薬物治療ですが、この疾患に対して効果的な点眼薬はなく、処方するとすれば内服薬になります。血流改善を促す効果を期待して末梢血管を拡張させるような循環改善薬であったり、また血管が閉塞すると血液が逆流して網膜に出血が起