今回は前回からの続きで網膜静脈閉塞症の治療についてです。この病気はそもそも網膜の循環障害によって少なからず網膜が傷んでしまい、その傷んだ細胞は残念ながら完全に再生して治ることはありません。そして特に見え方に悪影響を及ぼすものに「浮腫」があります。視力に直結する黄斑によく起こりますが、これを「黄斑浮腫」と呼びます。この黄斑浮腫については治療することが可能であり、浮腫がよくなれば多くの場合、見え方はある程度改善します。
治療法は具体的には注射になります。一つにはステロイド剤の注射というものがありますが、一般的に効果はあまり強くはありません。そしてもう一つ別の注射に「抗VEGF薬」があります。これは黄斑浮腫の原因物質と言われるVEGF(血管内皮増殖因子といいます)を抑える働きのある薬剤であり、これを眼の中に注射する方法です。注射と聞くと痛いのではないかと不安に思われるかと思いますが、麻酔をした上でごく細い針を用いて行いますのでほとんど痛くはなく、実際に注射する時間はものの数秒間ですのでまず心配はありません。この注射をすると多くの場合は浮腫はかなり改善しますが、一度の注射によって効果がずっと続くわけではないため、何回か追加の注射を行わなければならないケースも多いのが実情です。一般的に眼科クリニックではこの注射は取り扱ってないことも多いのですが、当院では専門医がこの注射も行っておりますのでご安心下さい。
以上、3回にわたって網膜静脈閉塞症について解説してきました。より詳しい説明、診察をご希望な方がおられましたら、どうぞ気軽に当院を受診ください。