
緑内障に限らず、生涯治療が必要な病気は多いです。
特に眼科の中でも、自覚症状が乏しくかなり末期になるまで日常生活に差し障らない緑内障は、中断することは時に深刻な結果をもたらすことがあります。
緑内障は一般的には、超慢性疾患でゆっくりしか進まないため、数年たっていてもほとんど変化していない という幸運な例もあります。
ただかなり進行している状態の場合、自覚症状が出てきていると、自分でも加速度的に悪化していることが感じられ、ようやく眼科受診という例もあります。
眼科では、視野検査や眼底検査 OCT検査といった色々な検査がありますが、特に痛みを伴うものはありません。
久しぶりに眼科にやってきたという、進行した緑内障患者さんがいます。
当院は初診です。
もちろん患者さんは、眼科的治療が必要なことを熟知していながら、きっかけを失ったことからそのままにしていた ということです。
以前との比較はできませんが、おそらく休薬している間に、悪化していると思います。
その場合眼科医として、どの様にその患者さんに接するべきでしょうか。
どうしてこなかったのか と厳しく責めるべきでしょうか?
それとも早速手術を受けるべき と緑内障専門医に紹介するべきでしょうか?
患者さんの性質によっても違うでしょうが、大体は気が弱く あるいは自覚症状が出てきて、恐怖感に打ち負かされそうにな状態になっていることが多いと思います。
人生は誰にとっても、過去に戻ることはできない事は確かなのですから、過去を責めることには何の意味もありません。
最悪の事態を今から極力回避するために、眼科受診は恐ろしくないことを知ってもらい、通院をともかく続けてもらうことが先決だと私は思います。
患者さんにとっても、眼科医にとっても気が重いことではありますが、ともかく病気の治療を中断することだけは思いとどまってもらいたいと思います。
もし通院を中断したくなったら、主治医に直接言って、解決策を一緒に考えてもらうのが何よりだと思います。