白内障でフォローしている患者さんは、来院間隔が長いことが多いので、多くの患者さんは前回との変化を尋ねられます。
来院間隔は、患者さんご自身が決めている傾向があり、人によって様々です。
例えば、1年ぶりに来られた方は、普通は視力低下に気付く人が多いと思うでしょうが、私の外来では、全然変わっていないと思っている人の方が多いように思います。
多くの患者さんは、視力を気にしますが、視力は眼圧と違って、数字がそのまま正確に病態を表すとも言えません。
1.2と0.1といった大幅な違いはもちろん重大ですが、1.0と0.8という数字がどれほどの違いがあるかは、白内障という多くの場合、超慢性である病気に対しては、カルテ上の数字に過剰に敏感になる必要はない と思っています。
視力検査は、眼科の診断 特に変化の急な病状の時には、とても大切であることはもちろんです。
一方、白内障の進行においては、昔と違い、視力が下がったから手術というより、まぶしさ くっきり見えない苛立ち 左右差 他人との比較 等視力以外のファクターが手術を決断する大切な要素になっているように思います。
ですから、自分の都合で手術の時期を決められる、数少ない手術だと思います。
もちろん急性緑内障発作を誘発しやすい眼の構造の患者さんには、私は熱心に早めの手術を勧めます。
その場合は、視力が良くても、緑内障発作を起こすデメリットを考えると、患者さんが嫌だと思っていても、来られるたびに、早く受けてほしいという私の意見を述べます。
そういう時を除いては、早く受けるのがいい と押し付けることはしませんが、手術後の活動が行いやすくなる楽しみや、合併症が起きにくい眼の生理を考慮に入れると、何らかの自覚症状があるのなら、70代の間には手術を済ませた方が安心だと考えています。




