
参天製薬から、新しい点眼薬が今月中にも発売されることになり、少し詳しい説明書が配布されました。
キサラタン点眼薬が発売されたときの、眼科関係者の中での熱狂ともいえる扱いとはだいぶ違いますが、新薬としての扱いになっている以上、どこか違う点があるはずと思い、その説明書をもう一度読んでみました。
グループとしては、ラタノプロスト(キサラタン)等と同じ、プロスタグランディン系のお薬ですが、セタネオ点眼の主成分である、セペタプロストは、プロドラッグで、点眼後角膜中で加水分解されて、2種類の房水経路に作用することが異なるようです。
もう少しわかりやすく書きます。
房水の流れが滞ると、眼圧が上がりますが、緑内障治療薬として期待される作用には、眼圧を下げるために、房水の流れを促進する方法と、房水の作られる量を減らす方法があります。
新発売のセタネオ点眼は、キサラタン点眼と同様、房水の流れを促進する作用ですが、房水の流れる経路には、2種類あり、キサラタン点眼はぶどう膜流出経路と呼ばれる経路のみに作用する一方、セタネオ点眼液は、それに加え線維柱帯流出路にも作用する。
だとすると、普通に考えると、今までのキサラタン点眼等に比べ、眼圧を下げる力が強く、より良い結果が期待されますが、この説明書を見ても、またMRさんのレクによっても、ラタノプロスト点眼液との非劣性が確認された ということのみしかわかりません。
またサルを使った臨床試験では、n8というわずかな数ではありますが、ぶどう膜経由の房水流出率は当然上昇(70.7%)していますが、それに加え、繊維柱帯流出率(68.4%)も上昇。
ただし統計的な優位性はない と書かれています。
総合的に考えますと、結果的には2経路の流出路に作用しているものの、セタネオ点眼液は、従来のキサラタン点眼等と同等の眼圧降下作用であったが、主経路に作用することにより、眼圧降下の持続性が期待できそうだ ということのようです。
主経路に作用する薬で、グラナテック点眼がありますが、発売当初は、セカンドチョイスとして用いる薬 とされていましたが、今では合剤もあり、当初より、評価が高くなっていると思います。
ですから、セタネオ点眼液も、大きな期待を持つと、ちょっと違うかもしれませんが、臨床的な効果はどうなのかは、患者さんによってだいぶ違うこともありますから、新しい選択肢ができたことは、良かったと思います。