ようやくドライアイ治療薬のジクアスLX点眼液の限定出荷が、開始しました。
今までの愛好家の方は、3回点眼で済む方を というリクエストが、出荷停止直後は、よく聞かれました。
最近は、ジクアス6回点眼を主として使っている人もいれば、3回でも大丈夫という人 ドラッグストアで、0.1%ヒアレイン点眼やソフトサンティアを買ってくる人等患者さんのライフスタイルや、ドライアイの程度によって、選択は様々なようです。
今回は、ジクアス点眼に話を絞りたいと思いますが、涙については、基礎知識として知っていた方が良いと思います。
目の表面の角膜・結膜にとって、涙という水分が枯渇するのは、死活問題です。
涙は、耳側にある涙腺で作られ、鼻側にある涙道から排出されます。
涙は、常時分泌されていて、それが目の表面に栄養を与え、瞬きによって均一に広がり、不要になれば、涙道から出ていきます。
貴重な涙成分が簡単に蒸発しないように、マイボーム腺から分泌される脂成分(油膜)がコーティングし、さらにムチンという成分が、黒目の表面に十分広がるために大切ですが、涙の水分とブレンドされて、蒸発も防ぎます。
目のムチンは、結膜から分泌される粘液ですが、体中、たとえば胃 気道 鼻 生殖器等、うるおいが必要な部分には、ムチンが分泌されています。
ムチンは加齢とともに減少しますし、マイボーム腺の油分の質も変化します。
ですから、加齢とともにドライアイは増えますし、若くても、瞬きが減ること 例えば、熱中してゲームやパソコン仕事をしている スマホでユーチューブを見る といったことでもドライアイは増えてしまいます。
前置きが長くなってしまいました。
ジクアスに話を戻しますが、結局数あるドライアイ用の薬の中で、ムチンを増やすことができるのは、今のところジクアス点眼 ムコスタ点眼 ムコスタの後発品であるレバミピド点眼 のみです。
ジクアス点眼は、その薬効を確実に手に入れるためには、6回の点眼が必要ですが、正直なかなか6回も入れることができている人は、多くありません。
逆に6回必要な人こそが、このジクアスLX点眼の登場を待っていましたし、今回の再出荷を歓迎しています。
3回でよいというのが売り物のLXですが、6回でなくてもよい大きな違いは、主成分ではなく、いわば添加物の違いによるものです。
ムチンの分泌量は点眼開始後すぐに達成できるのではなく、少しずつ増加していくといわれています。
ですから、真のドライアイの患者さんは、症状とは関係なく、毎日3回点眼を続けることが推奨されています。
ただしLX点眼薬の薬価は、ジクアス点眼の2倍ほどですから、3回点眼で大丈夫だった人は、ジクアス点眼のままでも良いかもしれません。
また市販の水分補給薬で症状がとれる人は、それで様子を見ることもおかしくはないと思います。
どちらにしても、現在はLXは限定出荷ということですから、広くいきわたるまでは、大量の処方を控えることが望まれています。




