
NYのマウントサイナイ医科大学 ベスイスラエル病院の老年医学専門医の山田悠史先生の著書名ですが、この著書で最高の老後を実現するための方法を考察されています。
興味深い本ですが、私を含め、眼科の患者さんは高齢の方が多いです。
そして高齢というと、マイナスイメージが強いですが、加齢によるメリットもある という話を抜粋してみようと思います。
1.色々な病原体に対する免疫を獲得できる。
1年間に風邪をひく平均回数がグラフになっていますが、1歳未満は、6回。そこから、徐々に減少し、15~19歳が2.3回。と一旦底になり、20歳~29歳までが、2.7~2.8回。
30歳代が2.2回となり、以降減少し、60歳以上も1.3回を維持しています。
意外な気がしますが、活動性が落ちるということもあるでしょうが、若い頃に比べ、多様な病原体への免疫を獲得できているから ということだそうです。
70~80代になると確かに、免疫能の衰退はあるようですが、それを維持するために、栄養 ストレスマネジメント 運動が役立つことは、研究評価されているとのことです。
ただし、免疫力を高めるサプリや特定の食品というものは、ないそうです。
2.アレルギーが改善する。
加齢に伴い、IgE抗体が減少するため、アレルギー疾患は加齢とともに、減少する。
アレルギー疾患のピークは、幼少期と20~30代で、それ以降は、減少していきます。
3.偏頭痛も改善する。
偏頭痛は、30代の女性に多く、そこをピークに、徐々に減少し、60代以上は女性5% 男性1.6%ととても減ります。
またもし続いている場合でも、加齢とともに、発作は短く、軽くなり、頻度も減少するとのことです。
4.知恵が豊富になる。
計算能力 言語記憶 等の能力は、平均的に60歳頃まではあまり衰退はみられないものの、74歳頃までに、空間認識 言語能力 機能的推理能力 知覚速度を含め、衰える。
あまり嬉しくない結果です。
ただ認知機能の低下の主な原因の一つは、頭を使わなくなることにあるそうで、ある程度のトレーニングによって、維持することはできる。
著者によると、年齢を積み重ねた経験は、何物にも代えがたく、それが知恵となって衰えた部分を補う役割を果たす。
経験による知恵は、大きな力となる。
と勇気づけてくれますが、これは根拠が示されていなかったので、ある意味高齢者へのリップサービスかもしれませんが、あらゆる経験は、無駄ではないというのは、真実でしょう。
私が考える高齢者の良い点は、迷いがなくなることではないかと思います。
ある程度の年齢になると、世間的な欲や見栄が減り、選択肢が狭くなる代わりに、迷いも無くなるのではないかと思います。
そしてよく食べよく笑い、よくしゃべる陽気な関西人は、最高とはいえなくても、ある程度納得のいく老後を送れているような気がします。
人生の先輩に外来でお会いするにつけ、私もそうありたいと願います。