
年齢での区分というのは、統計上どうしても必要なことです。
ただ中高年世代を終え、高齢者それも60代後半以降になると、統計で年代を区切るには、個人差が大きいように感じます。
白内障手術を受ける患者さんの年代別分布では、70代が最も多く約48% 次いで80代以上が26%となっています。
90代での白内障手術を受ける患者さんも、増えていると感じます。
先日も7年ぶりに来院された患者さんは、90代になっていました。
白内障が無いとはいえませんが、視力は矯正して0.7位でています。
とても矍鑠とした方で、もちろんお一人で来られていますし、受け答えもしっかりしています。
白内障の進み具合はいかがでしょうか と尋ねられましたので、7年前より進んでいることは確かですが、現在の状態で日常生活に不具合がなければ、是非手術を受けなくてはならない というほどではありません。 と答えました。
年齢から考えますと、むしろ白内障の程度は軽いと言ってもよいほどでした。
ただもしこの状態のまま、1年 2年 と経過した場合、白内障は進行しますし、お伝えはしませんでしたが、白内障の有病率が高いグループの方が、認知症の発症率が高いことは統計的に明らかになっています。
何より手術する側から考えれば、水晶体を吊り下げている索状物がありますが、そういった支持組織が脆くなったり、全身のリスクを考えると、圧倒的に70代 60代の方が有利ではあります。
90代で一人で自立して、外来受診ができる というのは称賛に値することですし、ご本人はもう終着駅が近いから手術を受けたいとはおもいません。 と冷静なお言葉には、説得力がありました。
ただ周りの多くの自分より若い老人が、次々手術を受け、自分は手遅れだったかと感じておられるようでした。
でもご本人は、少し手術を受けようかという元気が湧いてきたように感じました。
今度は6か月後ぐらいに来てみようか とお話しされていましたので、是非来てみてください とお伝えしました。