
中年以降の方で、高脂血症の治療薬を内服している人は多いと思います。
スタチン系の内服をしている人に、白内障発症率が若干高い というニュースを何かでちらっと見たのですが、再度確認しようと思うと、見失ってしまったので、検索してみたところ、発見しました。
日本人の研究で、日本大学薬学部のKazuhiro Kawabe先生の後ろ向きコホート研究で、2025年4月にScientific Reports誌に掲載されていました。
結論を先に書いてしまうと、中年層でのスタチン使用は、白内障リスクを約1.5~1.6倍高める という結論になっています。
どれぐらいの規模での研究だったかが大事だと思いますが、2005年1月~2017年12月の健康診断および保険請求データベースを利用した117万8560例 そのうち724200例を登録した。
高力価と低力価のスタチンの比較では、高力価1.61 低力価1.48 とわずかではありますが、高力価の方が高く、脂溶性 水溶性のスタチンでの比較では、差はない。
スタチンはかなり以前、横紋筋融解症の副作用が問題になったことがあったことは、記憶にありますが、重度のミオパチーは稀で、現在は推奨されていないスタチン療法が原因だったとのことです。
糖尿病発症リスクも懸念される事項のようですが、メタボリックシンドロームの要素を2つ以上有する人における、高スタチン療法による場合 ということですから、内服に当たっては、内科主治医の診察は大切なようです。
白内障発症リスクの1.5倍~1.6倍というのを、高いとみるかどうかですが、白内障の治療は確立されていますし、内服のためのみならず、加齢による白内障発症も多いことを思うと、内科治療の必要性に重きを置いて考える方が、患者さんのためになるように、私は思います。