今回のテーマは、主に1回点眼の合剤といわれる、緑内障治療薬についてです。
緑内障治療は、現在のところ眼圧を下げることに尽きるわけですから1回点眼の場合、より効率よく効果を発揮するためには、どの時間帯にさすのがいいか というのは以前から話題になっています。
合剤ではないプロスタグランディン誘導体(キサラタンやタプロス等)は、歴史ある良薬ですが、発売当初より、一日一回夜にさすことが推奨されていました。
昔からさしている患者さんは、夜にさす習慣が身についている人が多いと思います。
一方合剤として追加されているチモロールはβブロッカーで、夜間は房水の産出量が少ないので、効率的な点眼を目指すのであれば、朝の点眼が勧められています。
そうなるとこの二つの薬の配合剤の場合、朝にさすのがいいのか、夜にさすのがいいのか ということが問題になってきます。
そのことの論文紹介が、日本の眼科に記載されていました。
京大の池田先生のご紹介文ですが、ランダム比較試験の内容も詳述されていましたが、ここでは結論を書きたいと思います。
夜投与の方が、朝投与より眼圧降下量は多い。しかし最高眼圧値 最低眼圧値 については、両者に差は無かった。
眼圧の変動値(最高眼圧-最低眼圧)や変動幅については、両者とも治療後は減少し、その減少量は朝投与の方が大きかった。(眼圧の変動幅も値も少ないー治療上は好ましい)
この論文の著者の総括では、合剤の夜投与の方が、9:30AMでの診察時の眼圧降下効果は大きいものの、特に昼間の眼圧変動抑制については、朝投与の方が優れており、眼圧安定性の観点からは、朝投与の方が良い可能性がある となっていました。
この論文は、中国の先生の発表とのことですが、この研究の限界として、投与4週間時点のみでの評価であること 多剤治療を受けている進行性緑内障患者さんには適用されない可能性があること 中国の漢民族のみのデータである ということが付記されています。
最近は、以前のように投与時間や冷所保存等を厳しく守るような風潮はありませんが、可能であれば、合剤については、朝投与がいいように思います。
ただこのような統計的な結論より、患者さんの生活サイクルに合致した時間で、無理なく、長期にわたって続けられるということが大切なのではないかと、私は思っています。