多くの臨床医が見る医学総合サイトがありますが、そこにたまたま眼科以外の医師に対して、緑内障について簡易な説明をしているオンデマンドのセミナー動画がありました。
緑内障という病気を網羅的に説明しておられましたので、そのエッセンスをお伝えしたいと思います。
まず発症率については、症状が乏しいために気付きが遅れがちですが、40歳以上の5% 70歳以上の10%というかなりの高頻度な病気であること。
そのほとんど(80%)が、開放隅角緑内障であり、日本人の場合開放隅角緑内障の90%以上が正常眼圧緑内障に分類されている。
症状がほとんどないため、偶然人間ドックや職場検診等で見つかる以外は、かなり進行するまで気付くことができず、自覚症状が出てきている場合、すでに進行していることが珍しくない。
そのため中途失明者の原因疾患の第1位は緑内障(21%)で、第2位の糖尿病性網膜症(16%)は治療法が確立されてきており、減少傾向にある。
緑内障患者さんが気付きにくいのは、特に上方視野欠損の場合、日常生活に差し障りが出にくい事 両眼での生活では片眼が補えること そして何より中心の視野が最後まで残ることが多いため、かなり視野欠損が進行していても、視力は保たれていることが原因となっている。
緑内障の80%を占める開放隅角緑内障の治療は、今のところ眼圧を下げる以外にエビデンスのあるものはないわけですが、まずは点眼薬治療を開始し、視野欠損の進行が止まる眼圧が維持できている場合は薬剤治療を継続。
それに限界がある場合は、手術的な治療に変更することも必要。
そのために定期的な眼圧や視野検査 OCT検査 等が必要となること。
一方閉塞隅角緑内障の場合は、形態的に隅角が狭い構造をしていることで発作を起こすリスクや、慢性化した高眼圧で緑内障の悪化を起こす可能性を鑑み、まず手術的な治療を考慮する。
最近の啓蒙活動の活発化によって、よく聞くお話だとは思います。
医師とはいえ、私達眼科医が他科の最新の治療について、何でも知っているというわけにはいかないように、他科の先生方が眼科の治療についてご存知ないのも当然なのかもしれません。
でもすでに緑内障の治療を受けている患者さんは、よく勉強しているので、今日ここに書いたことは既によくご存知なことかもしれませんね。