
これを書こうと思い立ったのは、昨日来院されたMRさんが、ついにアイベータ点眼液がバックフリーとなりました と新しいバンフレットを持参してくださったからです。
私達眼科医は、バックフリー=添加物無し ではないことを知っています。
ただ一般的に、眼科点眼薬の保存剤としてBACフリーといえば、添加物が無い薬品と思いがちです。
このパンフレットでも、保存剤がBACからポリヘキサニド塩酸塩に変更になりました。 と明記されています。
このポリサニド塩酸塩というのは、主にコンタクトレンズを使用中にも使えることが特徴の添加物で、コンタクトの洗浄液や装着液等にも含まれています。
安全性が高く、低刺激性で、効果のある菌域も広いうえに、持続性も高い と優れたものではありますが、全くアレルギーがでないという意味でないことは、知っていた方がいいかもしれません。
薬の主成分にアレルギーがでることもありますが、BACアレルギーの患者さんも多く、特に緑内障薬は、長期間使用することが多いため、角結膜障害やドライアイ等には注意する必要が、あります。
点眼薬を変更して、アレルギー症状が出た場合、本当に主成分にアレルギーなのか、添加物にアレルギーなのかは見極める必要が有ります。
今回のアイベータ点眼は、主成分たるアイファガン チモロールの中でも、アイファガンはアレルギーがでることが珍しくないため、BACフリーであることは嬉しいことです。
少なくともBACアレルギーであることは、考慮しなくてもいいからです。
ただしBAC入りの製剤は、界面活性作用があるため、角膜上皮の結合を少し緩める働きがあり、角膜の表面から眼内への移行が増えるため、また涙液層にも変化を起こして、眼圧を下げる効果が強くなることは知られています。
つまり効果が出やすくなるということです。
実際このパンフレットでもBAC入りの方が、眼圧を下げる効果はやや高いことは示されていました。
もちろん統計処理後ですから、統計的には、BACフリーの製剤も同等の効果ではありました。
自分ごとと考えたら、僅かな差であれば、BACフリーの製剤が望ましいと思います。
もう一言付け加えるなら、アイベータの容器は、ノズルックという、視野や視力に影響が出ている緑内障患者さんにはさしやすいように工夫されたノズルになっているので、使いやすそうです。 (ノズルックについては、以前このブログでご紹介しました。)
私自身、アイベータ点眼は、患者さんへの処方として、あまり使っていなかったですが、適応を見て、今後は使ってみようかと思いました。