ドラッグストアなどでは、サプリのコーナーが以前に比べると拡大しているように感じます。
海外では、サプリを摂取するのはむしろ普通のことのようですが、その中でもマルチビタミンというのは、かなり普遍的なものだと思います。
米国での統計結果ですが、成人の3人に1人がマルチビタミンを摂取しているそうですが、約40万人の成人を20年以上追跡調査した結果がJAMA Network Open に掲載されました。
マルチビタミンの摂取が、寿命の延長に役立ったかどうかを、大規模前向きコホート研究のデータを分析した結果ですが、20年間という長期にわたっていますから、信頼度は高いと考えてよいと思います。
その結果、調査開始時はもちろん、がんや慢性疾患の既往のない健康人を対象とし、20年間の研究期間中に亡くなった16.4万人の死因 人種 学歴 食事の質などで調節したうえでの分析結果、マルチビタミンの毎日の摂取は、追跡期間中の全ての死因に対して、死亡リスクの低下とは関連していなかったことが、わかったそうです。
更に残念なことに、4%増加することが明らかになったそうです。
この論文を書いた先生は、主要な慢性疾患の既往歴のない健康な人において、マルチビタミンを毎日摂取することで寿命が延びることを裏付けるエビデンスは、見つからなかったと結論付けています。
こういった研究は、今までにもあったようで、米国予防医療専門委員会も2020年に、マルチビタミンが心臓病や癌を予防できるかどうかを判断するエビデンスは、「不十分」との見解を示しています。
しかし、マルチビタミンの摂取は、1999年から2011年にかけて6%減少しているものの、3人に1人はマルチビタミンを摂取しており、依然として人気はある と今回の研究グループは述べています。
最終結論が歯切れが悪いのは、大人の事情もあるのでしょうが、健康増進に寄与することはあまりなく、むしろ死亡リスクが4%増加するということであれば、マルチビタミンを食べるより、静かなカフェでゆっくりくつろぐ時を過ごす方が、健康増進に役立つような気がします。