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霰粒腫(めばちこ)について

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2016/10/07担当:野宗研志
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秋風とともに少し涼しくなって過ごしやすい季節になってきましたね。ずっとこの気温が続いてくれると個人的には嬉しいのですが。季節の変わり目は風邪をひいたり、何かと体調を崩しやすいこともありますので、みなさんお気を付け下さい。

さて今回は「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」という病気について解説したいと思います。瞼(まぶた)には時々、腫瘤(できもの)ができてしまうことがありますが、その代表的な病気の中に「霰粒腫」という病気があります。よく似たものに麦粒腫(ばくりゅうしゅ)というものもありますが、似て非なる病気です。霰粒腫は、関西では「めばちこ」「めいぼ」などとも呼ばれていますが、地方によって実に色々な呼び方があるそうです。

「霰粒腫」と「麦粒腫」の違いですが、霰粒腫は炎症によって起こり、麦粒腫は細菌感染によって起こるという違いがあります。瞼には睫毛の生えぎわにマイボーム腺と呼ばれる油の分泌腺があり、この油は目の表面における涙の安定性に強く関わっています。このマイボーム腺の出口が何らかの原因によって詰まってしまうと、油が異常に貯留して炎症を起こし、「霰粒腫」という腫瘤(しこり)ができてしまうのです。基本的に霰粒腫は痛みを伴わないことが多いですが、霰粒腫に細菌感染も同時に合併してしまうと痛みを伴うことがあります。

また霰粒腫は子供から高齢者まで、あらゆる年代で起こることのある病気です。まず点眼、軟膏、内服などによる治療を行うことが一般的ですが、必要に応じて手術を選択することになります。

ではどのような場合に手術をすべきなのでしょうか。それには「大きさ」「赤み」の程度などが一つの判断材料になります。「大きさ」については、腫瘤が小さければ薬のみでも治りやすい傾向がありますし、大きければなかなか治りません。よって大きいものでは手術を考慮します。また「赤み」については、炎症の程度によって異なります。炎症が軽度であれば通常、皮膚はあまり赤くなりませんが、炎症が強くなって皮膚まで炎症が及んでしまうと、赤みが強くなります。このような場合、「自壊」といって皮膚が破れてしまって霰粒腫の内容物が外に出てきてしまい、皮膚がかなり傷んでしまうこともあります。ですから赤みが強ければ、たとえ小さい霰粒腫であっても早めの手術を考慮することになります。なお小さく赤みの少ない場合は薬のみで治癒することもしばしばありますが、治癒するまでに何ヶ月間もかかることもありますので、経過によって手術するかどうかの判断が必要になります。

手術法は2つのアプローチの仕方があって、皮膚側から切開する方法、瞼の裏側から切開する方法があります。いずれの方法も霰粒腫の内容物(粥状のもの)を切除して治しますが、それぞれ利点と欠点があります。まず皮膚側から切開する方法ではやや大きめに切開することで傷口をある程度広げて確実に霰粒腫の内容物を確認し切除することができるので、内容物を取り残す心配がほとんどないことが利点です。欠点としては皮膚を最後に縫合する必要があるので多少時間がかかることが挙げられます。なお傷は皮膚のしわの線に沿って隠れるように切開するため、手術後に目立った傷跡が残ることはまずありません。

これに対して瞼の裏側から切開する方法では、皮膚を全く傷つけずに手術できることが最大の利点です。裏側からの切開では、もし傷を糸で縫合してしまうと糸が眼球表面と接触して傷ができてしまうため、基本的に縫合せずに手術を終えます。手術時間は短いですが、縫合しなくてもいいように小さな切開から手術をしなければなりませんので、霰粒腫の内容物を広い視野で確認できないこと、それによって若干取り残しが出てしまう可能性があることが欠点になります。

以上、詳しく解説しましたが、治療の選択にはやはり診察してみないと一概には言えませんので、もし霰粒腫でお困りの際には是非一度受診してみて下さい。