緑内障の患者さんは、長期にわたって点眼薬を使用する必要が有り、当初問題が無かった患者さんでも薬の主成分に反応して、アレルギー性の結膜炎や眼瞼炎を発症したり、点眼薬に含まれる防腐剤にアレルギー反応がでる場合があります。
薬剤の成分自体のアレルギー反応の場合は、その点眼薬は中止しなくてはならないことがあります。
緑内障における主たる治療法は、点眼薬であることに変わりはないので、薬剤の主成分を変更しながら、使える点眼薬を探します。
幸い緑内障点眼薬は作用機序の異なるものを組み合わせることにより、かなり選択肢は増えています。
一方防腐剤アレルギーの場合は、処方薬とはいえ、大なり小なり防腐剤が入っていることが殆どなので、防腐剤フリーの薬品を選ばなくてはなりません。
市販品に比べ、防腐剤の量の少なさ 質ともに処方薬は、勝っていると考えていますし、点眼瓶内の汚染の可能性を考えると、防腐剤のアレルギーが無ければ、何の問題もないと言ってもよいと思います。
しかし防腐剤アレルギーがある場合は、そのために点眼できなくなることが緑内障治療にとっては致命的です。
緑内障治療薬の防腐剤フリーの点眼薬は、ミニという名の一回使い捨ての薬品と、PF(Preservative Free)防腐剤が入っていない という意味ですが、と書かれた点眼の2種類です。
PFと名のつく点眼薬は、点眼瓶にロート日点製薬が特許を持っているため、全て同社の製品です。
PF点眼薬は、1回使い切りではないにもかかわらず、2重ボトルになっているデラミ容器を開発したことにより、防腐剤なしでも清潔さを保つことができる優れた点眼薬です。
使い始めに1回だけインナープラグを開栓する必要がありますが、それも中央部分を押すだけですから、それほど手間ではないと思います。
ただ全ての点眼薬に対応しているわけでは無く、濃度違いも入れて、緑内障治療薬の点眼薬の種類は、先発後発薬品が150種類ほどある中、PF点眼薬は8種類しかありません。
それも現在あまり使われていない古い点眼薬も含まれているため、主に選択できる薬はあまり多くないのが現状ではあります。
ミニは全て参天製薬の点眼薬ですが、現在多く使われている薬ですから、使えるのは助かりますが、それでも3種類しかありません。
緑内障治療としては、良く眼圧が下がり経過が良くても、アレルギーが出てしまって使えなくなる時、患者さんはもちろん医師も悩ましい気持ちになります。
白内障の手術が安全で好成績となったのは、点眼薬の効果が不十分であることを補完するためにもぜひ必要とされるものであったからだと思います。
緑内障治療としての手術もだいぶ選択肢が広がっていますが、白内障手術のように、安全で好成績だから、アレルギーが出るぐらいなら手術を受ける というレベルにはまだ達していないように思います。
でも日進月歩の医療界ですから、緑内障の手術治療がもっと身近なものになる日も近いかもしれません。
是非そうであることを期待したいと思います。