Q42 多焦点レンズを入れたいのですが、希望すればだれでも入れることはできますか？
A
そうではありません。
まず、白内障以外に、黄斑部の病気やかなり進んだ緑内障などで、多焦点レンズを入れても良好な視力が期待できそうにない場合は、単焦点レンズを勧めます。
また視覚というのは、脳の認知機能も使いつつ、働くものですから、認知症の方はもちろん、希望しておられない御高齢者は、やはり単焦点レンズが良いと思います。
多焦点レンズは、遠くのものも、近くの細かい文字もすべてが若い時のように見えると勘違いしている方も多い気がします。
なるべくメガネ入らずの生活をしたいという、希望に応えるべく、日進月歩の分野ですが、不老長寿が不可能なように、全く若い時のようということはありません。
やはり、余程細かいものを見る時には、さらに老眼鏡をかける必要もありますし、長距離運転を長時間するような場合は遠くをよりよく見るために、状況に応じてメガネが必要になることもあります。
そういったことが受け入れられる、どちらかというと柔軟性のある考え方ができる人が向いています。
以前多焦点レンズの手術をしている眼科医自身が、自分は単焦点レンズが良いと言っているのを聞いたことがあります。
先生ならと、よく聞かれますので、自分なら是非多焦点レンズを入れたいと答えていますが、性格は人それぞれですからあまり参考にならないと思っています。
しかも健康保険が適用されない、保険外診療ですので高額です。
生命保険の先進医療特約に入っていれば、現状はその保険が満額負担してくれますが、これほど多焦点レンズを使った白内障手術が増えてくると、いつかは限界が来るのではないかと思ってしまいます。
私自身は、その保険には入っていませんが、立場上いまさら入るのも見え透いている気がして、自腹を覚悟しています。