
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は最近よく話題になりますが、眼科領域では、緑内障との関連が有名です。
緑内障診療ガイドラインでも、全身性の進行因子として、言及されています。
SASは、ご存知の方も多いと思いますが、主に肥満 加齢 男性の方に発症しやすく、いびき 日中の過度の眠気 睡眠中の窒息感と共に目覚める あえぎ呼吸 不眠 他者からの睡眠中の呼吸の中断の指摘 等が主な症状です。
一人暮らしの方は気づきにくいと思いますが、SASが良く知られるようになったおかげで、簡易検査が入院しないで自宅でも受けられるようになりました。
それも大病院ではなく、近くの内科や耳鼻科のクリニックでも取り組んでいる医院があるようです。
居眠り運転の原因になったり、大切な会議中や商談 授業中に居眠りしてしまって、周囲から顰蹙をかって評価が落ちたり、労働生産性が低下したり等 が起きる原因になることがあり、早期発見や治療が勧められています。
眼科領域での緑内障との関連は、一般にはあまり有名ではありませんが、東北大学の中澤先生が監修されたアイファガン関連の資料によると、緑内障患者さんの20~44%にSASがあり、48~57%にSAS様症状があったとのことです。
眼圧のコントロールが良いにもかかわらず、視野欠損が進行する場合、SASの存在も疑う必要があります。
特にSASがある緑内障患者さんは、視神経乳頭の上方~耳側の血流が障害され、視野欠損としては、下方から中心部分にかけて発症しやすいという特徴があります。
ですから、もしそれに該当する場合は、SASの診断を受けることができる医療機関を受診することを勧めます。
無呼吸ラボとか、SASnet等で検索すると、全国の受診可能な医療機関を探すことができます。
中澤先生によると、CPAP治療を開始後、緑内障の進行が落ち着いたということを多く経験したそうです。
SASによる夜間の低酸素状態は、酸化ストレスを増悪し、緑内障のみならず、動脈硬化や高血圧 心不全といった血管系疾患のリスクともなり、Lancetにも、重症SAS患者に対し、CPAP治療を行うことにより、心血管系イベントが大幅に抑えられたという論文も投稿されているとのことです。
できる猛烈ビジネスマンの知人がいますが、その人が出張にもCPAP持参で移動する といって、実物の装置を見せてもらったことがあります。
固定するベルトや、空気に陽圧をかけて気道に送るためのホースやマスク等もあるので、どれほど大きなものかと思いましたが、意外とコンパクトなものでした。
ご本人には失礼ですが、先程の3要素は大体揃っているので、といってもまだ40代半ばぐらいですが、早めに治療に着手しているのは、さすがだと思います。
皆さんの中にも、気になる症状があれば、先程のサイトから近くのクリニックなどを探して受診してみてください。