
超高齢社会になり、90代の患者さんが元気に、お一人で通院される姿も珍しくなくなってきました。
が、この患者さんは、当院には、毎月お昼前の時間帯に予約を入れて来られるのですが、歩いてではなく、コメダ珈琲店でのカフェタイムを楽しんだ後、ヘルメット着用の上、自転車を運転してこられます。
満98歳 数えで99歳と教えてくださいます。
そして診察後、当院最寄りのお気に入りのお寿司屋さんで、ランチ それもお刺身定食 と毎回決まっているそうですが、それを食べて帰るのが、楽しみといわれています。
もちろん両眼とも白内障の手術は終わっていますが、片眼は委縮型の加齢黄斑変性症のために、視力は低下しています。
もう片方の視力が良いので、何でも楽しめるといつも笑顔でやってこられるので、私はもちろんクリニックのスタッフも、お会いできるのが楽しみです。
カラオケに行ったり、ゴルフに行ったり、最近はお聞きしませんが、何年か前に、奄美大島に旅行に行ったお話を楽しそうに聞かせてもらいました。
その方が、先日の恒例の受診の際に、自分は徴兵検査の時に、丙種になったために入隊できなかったぐらい、体が弱かったのに、こんなに長生きさせてもらって と話されていました。
終戦記念日のころで、戦争の話題が多い時期でしたから、そのことを思い出されたのかもしれません。
体格もよくて、元気だったものは、もう皆この世にはいない 人生はわからないものです。 としみじみ話しておられたのが、印象的でした。
片方だけだけど、良い視力を与えてもらっているから、今の人生を楽しませてもらっている といってくださいますが、この方とお話ししていて、心が落ち着くのは、言葉遣いがとても自然で、謙虚で、冬の陽だまりの中でお話を聞いているような、夏の高原の爽やかな空気の中で、一緒に散歩しているような、 そんな気分になれるからだと思います。
私ももっと高齢になって、元気があっても なくても、くよくよしないで笑顔よしの人でありたいと、人生の先輩に教えて頂きました。