白目が充血すると、結膜炎ではと思うのが一般的だと思いますが、今日話題にする上強膜炎は充血が強くなることが多いわりに、眼脂は少なく、いつまでも赤い状態が続くことがあります。
上強膜炎は、強膜の表面浅いところで起きる炎症のことですが、それが深くまで炎症が及んだ状態を強膜炎と呼び、充血の色合いも、赤というより深紫のような少し迫力のある色になり、時に強い眼痛を伴います。
また炎症が強くなると、強膜組織が壊死に陥ったり、炎症が後部に至った場合は、ブドウ膜炎を併発し、視力の低下を招き、上強膜炎とは一線を画した状態となります。
強膜という言葉が、先程からよく出てきますが、私達が普段白目と呼んでいる所は、強膜というのが正式名称で、その上にかぶっている透明の膜が結膜です。
結膜炎に比べ、強膜炎 上強膜炎は、炎症の場としては、より眼球の内部に近いということになり、病気らしい状態と呼ぶことができます。
強膜炎を引き起こす原因となる病気に、関節リウマチやSLEといった自己免疫疾患や、結核 梅毒 といった感染症がありますが、根本的治療は、その原因となった病気を治療することです。
上強膜炎や原因のはっきりしない強膜炎の場合は、まずステロイド点眼を開始し、効果が無い場合は、ステロイドの内服を追加することもあります。
強膜炎は痛みを伴うことが多いので、鎮痛剤や、時に免疫抑制剤も必要となり、他科との連携が必要となります。
ただ圧倒的に多くの上強膜炎は、軽いステロイド点眼のみで軽快することが多いですし、強膜炎の原因疾患の治療も進んでいますから、心配しすぎなくていいのですが、いつまでも充血が取れなくて眼痛がある といった場合は、放置しないで、眼科を受診した方がいい場合もあることを覚えていてください。